今日のテーマは「生徒の背中は押さない方が楽である」です。
僕は教員を7年間していた中で、何百人の生徒保護者の方を向き合ってきました。
毎年受験生のクラスは担当していたので、この時期になると心が折れそうになる受験生や不安で仕方がない受験生と向き合うことになります。
そんな時、いつも思うのは「背中は押さない方が楽だな」ということ。
僕たち大人は「責任」という言葉に敏感になっています。
社会的責任は大人になれば必ず付き纏い、その責任から逃れることはできません。
教員であろうが、塾の代表であろうが、その責任から逃れることはなく、今僕が背負っている責任は主に「生徒たちの成績を上げる・志望校に合格させる・人間的に成長させる」という責任です。
この責任をしっかり受け止めれば受け止めるほど生徒たちに関する「結果」だけをみて行動してしまいがちです。
そうすると第一志望まであとちょっとだけどここで背中を押して第一志望に合格しないより、第二志望に下げさせて確実に合格させたが方が「責任を問われなくて済む」という思考になってしまいます。
実際、学校の先生方が最近生徒たちにチャレンジの応援を本気でしなくなったのは、この「責任を押し付けられる」という恐怖心からだと思っています。
教員も塾講師も「自分は責任取れないから」という理由で「自分で決めたらいいよ」と言わば「逃げ」に走るわけです。
もちろん僕も例外ではなく、生徒たちの背中を押すときには、不安にもなるし無責任にならないようにプロとして分析をしながら慎重に行います。
やっぱり最後の最後って「結局受験してみないとわからない」というのが本当のところです。
受験に絶対なんてものはないからです。
でもそこで僕たちが逃げると生徒たちは最後の最後で1人になってしまう。
僕はそれがどうしても嫌です。
僕が背中を押して第一志望の受験がもしうまくいかなかったとき、どうなるかといえば、「武末先生が背中を押したから」となる可能性は十分あります。
でも、僕はそう言われてでも「ここは背中を押すべきだ」と判断したら本人の意思が第一ではあるものの、「諦めなくていいと思う」と伝えます。
この時の僕はやはり痛みを感じているんです。
生徒と同じくらい挑戦に対する不安を感じるからです。
なんなら自分が挑戦した方が何倍も楽です。
そして挑戦を促すと、その痛みに悶えるのは大切な生徒です。
やっぱり大事な生徒に苦しい思いなんてさせたくはない。
でもここは「本気で教育しているプロ」だからこそ、その痛みから逃げずに背中を押します。
ただここで合わせて生徒たちに伝えているのが、「自分の選択の責任は自分で取るしかない。」ということ。
これは僕が逃げているとかそういう話ではなく、大人になっていく過程で意識をしなければいけないことだと思っているから伝えます。
学生の時はどうしても、選択を親や教員に委ねてしまって、結果を誰かのせいにする生徒が多くいます。
でも、大学生以降の生活では、すべて自分の選択で生活が構築されていくし、その選択の責任は紛れもなく自分にあります。
こう考えると、あんまり生徒たちには「選択し、その選択の責任を持つ練習」という機会がほとんどないんです。
普段の何気ない選択に関しては別に問題にならないのですが、受験や進路選択など人生に大きく影響する選択についての練習はこれまでほとんどしたことがない。
だからこそ僕は「自分の選択は自分でし、その責任は自分にあるんだ」ということをしっかりと伝えます。
その大人になった時の選択を意識して「自分で選択する痛みを背負って自分の意思で選択する」ということを大人と一緒にできる最後の練習が大学受験なんじゃないかと思っています。
一緒に悩み、一緒に闘い、一緒に選択する。
そして、その選択の責任は自分にあるからこそ、悔いのない、妥協のない選択をする。
その選択を全面的にバックアップし、今後の選択は僕がいなくても1人でしっかりできるように成長させる。
これが僕がいつも背中を押すときに意識していることです。
最近は本気で教育するなんて経営的にコスパが悪い的なことを言われる時代になりました。
何か本気で生徒とぶつかればクレームを受けるかららしいです。
そして総じてそういう一生懸命な教育は儲からないらしいです。
でもそれってぶつかり方だと思うし、プロとして適切なぶつかり方で、本気で目の前の生徒のことを想っていたら保護者の方もある程度は理解してくれるんじゃないかと思っています。
そして、たくさんの生徒保護者の方から信頼され通塾してくれれば、売り上げは後からついてくると思っています。
先日のニュースで大学受験者数が50万人を下回り、いよいよ少子化が大学受験でも顕著化してきました。
そんな業界でどうにかNii Schoolの教育から少しでも可能性のある生徒たちが「なりたい自分」を目指して前向きに生きていってほしいし、そういう生徒たちがいずれ大人になった時、教育業界で手を貸してくれたらいいなと思っています。
僕は本気でどうにか日本の教育をよくしていきたいと思っています。
そのためにNii Schoolの規模、会社の規模を大きくしたいと考えています。
僕は目の前の生徒に全力を注ぎます。
ぜひ、Nii Schoolの拡大にご理解とご協力をお願いいたします。