僕は教育者として、子どもたちに「平和学習」の重要性を伝える必要性を強く感じています。これは、子どもたちだけでなく、保護者の方々にも伝えるべきことだと思っています。
熊本出身の僕が、横浜で教員として働き始めたときに驚いたことの一つは、「平和学習」がほとんど行われていないことでした。
九州の小中学校では、長崎や沖縄があることから、修学旅行のタイミングでほとんどの学校が「平和学習」を実施しています。僕自身、小学生のときに長崎、中学生のときに沖縄を訪れ、幼いながらに「戦争」を見たり聞いたりして『体感』する機会がありました。
しかし、関東には長崎も広島も遠く、平和学習の機会が乏しいです。だからこそ、教育者である大人たちが意識してその時間を作り出さなければならないと感じています。
ここで、具体的にどのような平和学習を行うのか気になる方もいると思うので、僕が教員時代に高校1年生を対象に行った平和学習の一例をご紹介します。
まず、生徒を学校の屋上に連れて行きます。そして、彼らにたった一つの指示を出します。「ここから2km先の建物を当ててみよう」と。この指示だけを与えると、生徒たちは平和学習だとは思わず、楽しそうにふざけたりしながら、その指示に従います。
「ここかな?」「いや、もっと遠いかもしれない!」といった会話を交わしながら探すのです。
その後、僕が事前に調べておいた2km先の建物を教えます。そこで一番盛り上がるのですが、その後、生徒たちから必ず質問が飛んできます。
「これは何の授業なんですか?」
その時、僕は一言だけ伝えます。「半径2kmは、原爆が投下されて、一瞬にして焼け野原になった距離だ」と。
この言葉を聞いた瞬間、生徒たちの表情は、それまでとはまるで違う緊張と恐怖に包まれます。そして、もう一つだけ指示を出します。「今感じた気持ちを、この紙に一人で書くこと。」
生徒たちはただ黙って、改めて2km先の建物を見ながら、その広い範囲が一瞬で焼け野原になった恐怖を実感し、思うことを書き記します。
僕の授業はこれで終了です。平和学習に正解も不正解もありません。ただ、僕が大切にしているのは『体感』です。
文章で学ぶ平和学習が無意味だとは言いませんが、僕の経験上、生徒たちの想像力ではそれを十分に理解するのは難しいと思います。そのため、重要なのは『体感』することだと考えています。
その体感から生まれる感情こそ、私たちが大切にすべきものだと思います。そして、その感情を基にこれからの平和を考え、築いていかなければならないと感じています。
その日の帰りのホームルームで、僕はこう話しました。「今、みんなは涼しい中にいるが、原爆が落ちたその日から、あの炎天下の中、絶望を背負って生き抜いた人たちがいるんだ。」
普段は笑顔でホームルームを終えることが多い僕も、この日は教育者として、先人たちの思いを伝えることに専念しました。
学習塾の代表として、平和学習に触れる必要はないのかもしれません。しかし、僕はただ「勉強だけをする学習塾」をつくりたくてNii Schoolを立ち上げたわけではありません。
教育を通じて日本を良くしたい。そのための一つの手段として学習塾があります。生徒たちが「なりたい自分」になること。その自己実現から他者への貢献が生まれ、主体的で活動的な人材が育つと信じています。
そのためにも、まずは生徒たちの学力をしっかりと向上させること。プロとしてその目標から目を逸らさず、圧倒的に良質な教材と授業で生徒たちに指導を続けます。
中3には毎週「完全オリジナル」で1・2年生の数学の復習プリントを作成し、宿題にしています。また、午前講習では「高強度トレーニング」と題して神奈川県での最上級難易度に触れる時間を作っています。
高3には毎週、センター試験の過去問を時間を測って解かせ、僕のオリジナルの解説を配布し、基礎固めを徹底しています。
Nii Schoolでは、圧倒的な行動量と質で生徒と向き合い続けます。ただ、僕は学力の向上だけが全てだとは考えていません。学力を身につけた先にあるものを大切にしています。
これからも教育者として一貫した姿勢で指導に当たります。保護者の方にも「Nii Schoolに我が子を通わせてよかった」と感じていただけるよう、全力を尽くします。これからもどうぞNii Schoolをよろしくお願いいたします。